スキーブーツのカント調整の効果は?なぜ必要?カント調整の方法も公開!

スキーブーツの調整機能の一つ「カント調整」にクローズアップしてみます

機能がある事は知っていても、活用出来ていない方が多くは、

  • 機能は有る事は知っているが、触った事が無い
  • 現状の滑りで特に問題ないので触らない
  • 調整方法が難しい、分からない
  • 聞いた事も無く知らなかった   ・・・・・・etc

理由は色々有りますが、知っていればスキーは劇的に変化します!
今まで自分の癖と思っていた事が改善されれば更に楽しいスキーライフが送れると思いませんか?
具体的な症例も挙げながらカント調整の重要性を知って頂きたいと思います。

 

カント調整機能とは

カント調整機能とは

カント調整とは足の脛骨(けいこつ)の傾きや、足の歪みに合わせて、ブーツの角度を調整する機能です。
まず大前提として自分専用に作られたブーツは存在しません
人それぞれ足の形・長さ・傾き等・三者三様です。
市販のブーツを出来る限り自分の足に近い物に仕上げていくしかないのです。
勿論選定の地点で自分の足に合った物を選ぶ事は大切ですが、それでも自分専用のブーツでは有りません
カント調整とは、主にアッパーシェル(上部のシェル)の傾きを調整する事で、自分自身の脛骨(スネの骨)との
角度を調整する機能です。
Ⅹ脚の人とO脚の人が、同じブーツを履いて滑っていると思えば、尚更調整が必要な事は分かると思います。

自分自身の足の現状を見てみましょう

スキーブーツを装着した状態でスキーのニュートラルポジションで立ってみます
(一人で確認する場合は全身が写る鏡等を活用しましょう)
鏡を使用する際は真正面に置き、真っ直ぐ正面を見て確認しましょう
(体や首が横を向くと連動して角度が変わる事があります)
膝のお皿の中心部にシール等でマーキングを行うと目視しやすくなります。

確認の際の正しい姿勢

1.ナチュラルなスキースタンス

足の幅は骨盤の外側を基準にブーツの外側が骨盤の外側と一直線になるスタンスが
  ナチュラルなスキースタンスになります。

2.ブーツは必ず平行な状態をキープする

人体工学上、つま先が開いた状態で立つ事が多いと思います。
  スキーの為の計測になりますので、必ず平行を保った状況で確認します。
  ガムテープ等を平行に貼り、目印を作ると平行にしやすくなります。

3.意識せずに自然な状態で計測する

人によっては膝が窮屈に感じたり、ブーツの底面の圧力が均一では無い感じがすると思いますが、
  そのまま状態を確認します。意識して体で、調整してしまうと全く違う結果になる事が有ります。

カントチェック方法

膝のお皿の中心部に付けたマークが、ブーツの中心部に対してどの位置に有るかを確認します。
膝中心部のマークが、ブーツの中心部より内に有る状態を『アンダーカント』と言います。  
逆に外側に有る場合を『オーバーカント』と言います。

2人以上で確認する場合は目視の他に、パワーテストを行うと、カントの狂いが分かりやすくなります。

パワーテストの実施方法

パワーテストの際の注意点

パワーテストを行う際の注意点

>以上の状態を確認した上で、パワーテストを行います。

パワーテストの実施方法

パワーテストの実施方法

足の湾曲が大きくカントが大幅に狂っている場合は、耐える事が出来ず、簡単に崩せます
逆にカントが有っていれば、どっしり力を受け止められますので
崩される事は無いでしょう。

先ずは現状を把握して頂く事で、改善点を見つける事が出来ます

アンダーカントの特徴と滑りの傾向

アンダーカントの特徴と滑りの傾向

アンダーカントの特徴は
膝がスキーの中心部より内側に入りやすく。エッジグリップが甘くなりやすい
元々ブーツの中心部より膝中心部が内側に入っているので、当然スキーを履いても同様の結果となります

アンダーカントの方に起こりやすい滑りの傾向として以下があげられます。

X脚

膝が内側に入ってしまい正面から見ると、アルファベットのXの様に見える症状です多くの方が悩まれている症状だと思います。

シェーレ(シザース)

Ⅹ脚と関連して現れる事多い症状です、ターン中スキーのトップが開いてしまう『はさみ』の様に見える事から『シザース』とも呼ばれます。

ローテーション

膝が内側に動く事で上体が同調して動いてしまい腰が回る症状です。この場合は反対の足のターンも遅れがちとなる為、逆の足が調子悪いと感じる方も居られます。

腰が外れる

膝の向きを体で調整しようとして起こり易い症状です。膝の向きを外側に持って来るため過度な外向姿勢になってしまい、腰がパワーラインから外れるようなポジションになります。

アンダーカント傾向の場合、膝が内に入りやすい=回旋動作が常に行われる状態になります。グリップが甘くターン後半にズレる等の症状も出やすいで

上記の症状は複合的連動して起こる事が多いと思います
滑りの癖と思っていた症状はブーツに起因する事も多い事が分かると思います

オーバーカントの特徴と滑りの傾向

オーバーカントの特徴は膝がスキー中心部より外側に有る事で、膝が割れる様に見える
エッジグリップが過度に強くなり回し過ぎてしまう等です。

オーバーカントの方に起こりやすい滑りの傾向

O脚

膝が割れるような滑りになってしまい、正面から見てアルファベットのOの様に見える症状です

内倒

膝が外向きに動きやすい為、オーバーカント傾向の足が内足の場合に先行して入りすぎて内肩が落ちてしまい内倒傾向になりやすい

過度なエッジグリップ

内側に対するグリップ感は強くなる為、コブ等の操作時板をスライドする操作を行いにくい

過シェーレ(シザース)

内足が先行し回旋をする事で外足との差が生まれ、ターン中スキーのトップが開いてしまう。『はさみ』の様に見える事から『シザース』とも呼ばれます
上記の症状がオーバーカントの代表的な症状となります。

カント調整前に、必需品インソールでの骨格補正

インソールでの骨格補正

カント調整前に重要なアイテムがインソールとなります。
脛骨の歪みや、足の以上は足裏が要因となっている事が少なくありません。
インソールには、骨格を補正し足の運動を助ける効果があります。
建物に例えると基礎・土台になる部分だと思います。
カント調整は柱にあたる部分です。

いい柱を持ってきても土台が脆弱だと建物は崩れますし
逆の場合でも同様に、土台だけ良くても柱が曲がっていれば崩れます

インソールとカント調整は、相乗効果があり
どちらか一方だけだと効果が半減すると言っても過言では無いと思います。

一般的なカント調整方法(メーカーの機能使用)

一般的なカント調整方法

メーカーの機能を使用した、カント調整は(一部特殊な調整が行えるブーツもあります)調整方法は違っても
考え方は共通になります。アッパーシェルの高さを調整して角度を付けます。

カントシステムには、片側のみの『シングルカント』(主に外側に装着されています)と
両側についた『ダブルカント』が有ります。
『シングルカント』より『ダブルカント』の方が、可動域が大きく調整範囲も大きくなります。
※ダブルカントの場合は前傾角度に多少変化が出ます※

調整の目印としてヒンジ部をよく見ると記号が、記載されています。
一番多い記号は+(プラス)と-(マイナス)です。
(ブーツによっては違う記号の場合が有りますが考え方は同じです)
また内側と外側では+(プラス)と-(マイナス)は逆になります。

プラス方向にアッパーシェルを動かすと(上方のシェル)の内側は高くなり外側は低くなる方向に動きます。
この高低差でブーツが外側に倒れます。 
マイナス方向に動かすと逆に、アッパーシェルの内側が低く、外側が高くなりブーツが内側に倒れる形となります。

メーカーの機能のカント調整
メーカーの機能のカント調整

専門店のカント調整方法

専門店のカント調整方法

専門店の調整方法は店舗によって異なり様々です。
考え方は共通している部分が多いかと思います。
計器等を使用し膝がブーツの中心部に収まり、真っ直ぐ運動出来る様に仕上げていきます。

①インソールの使用

アライメントの調整とベース作りの為必ず使用致します。

②センター出し加工

ブーツのセンターラインと足のセンターラインが、合っているか確認致します
あってない部分は、削りやシェル出し等で調整します
①②でカント調整に必要なベースを作ります
センタ-出し加工で収まる場合も多々あります。

③カンティング

専用の計器を使用し膝のセンター部がブーツセンター部分に収まるよう調整します。
調整の方法は個々の膝の位置や、ブーツとのバランスで変化しますので、割愛します。

④前後バランスの調整

ブーツの前傾角も過度に前傾していると、前傾過多で板のテール部分が軽くなりズレ易くなります。
また逆の症状で、膝だけ前に出てしまい後傾になる事も有ります。
前傾角が起き過ぎていると、突っ立った様なすべりとなったり。後傾になったりします。
適正な前後バランスをキープする事で、スキーが、たわみやすくなり、ズレ・キレ共に操作性が向上します。

 

※注意事項※

ブーツの調整方法は多種多様です。
足の形状・個人の感覚・スキーレベル・目的・ブーツのバランス等様々な要因で調整方法は個人個人変化します。

まとめ

スキーブーツのカントを調整する事は、間違いなくスキー上達の手助けをしてくれます。
膝が内側に入る人が、膝を外側に出す練習をするより、膝が中心部なるように調整する方が早いですし
余計な操作が減る事で、操作の癖も無くなります。
上達の近道になると言っても過言では無いです。
ブーツを履いた時のポジションを一度確認して、自身のスキーの癖などを考察してみてください。
冒頭でも書いた通り、ブーツは決して個人の足に合わせて作成されていません。
是非一度、自身の足に合わせたブーツを使用してみてください。スキーライフが必ず変わります。

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